指導において叱ることはダメですか?

哲さんの質問

コーチをしているものです。最近世間では叱るのはよくない、褒めて選手を伸ばせと言われていますが個人的には理解できません。私が小さい頃は叱られたり、怒鳴られたりもしましたがその中で社会は理不尽であることを学んだりもしましたし私自身も全国大会に出場することができました。子供なのである程度威厳を保たなければなめられてしまうと思います。そうなると指導者の言うことも聞かないですし練習中にしゃべったりふざけたりする子もでてきます。メンタルを鍛えるためにも叱ることは必要かと思います。先生の意見をお聞かせください

 

 

回答

哲さんの文面から察するに、選手の指導において叱る指導と褒める指導で区別しているように思います。私の考えとしましては、叱ることも褒めることもどちらもあっていいものだと思っております。叱ることと褒めること、指導においてどちらが重要かを考えることよりも、その選手にとって今必要なことはなんなのかということを考えることが大切であると思います。指導するうえで叱ることが正しい、褒めることが正しいと決めつけてしまうとどちらかに偏ってしまうので、どちらが正しいということはないかと思います。

 

叱ることも時には必要だとは思いますが、社会の理不尽さを教えるための叱りは全くもって不必要だと思います。そもそも、理不尽なことは教えなくても生きていればあるものなので、理不尽な機会を意図的に用意する必要はないかと思います。

 

理不尽なことは大人だけでなく子供にも同じようにあるのだと思います。大人は会社や仕事で、子供は学校や部活などで、自分とは考え方も性格も違う人間と関わっていくことになるので、その中で理不尽なことは必ずあるかと思います。また、部活やスポーツをやっていればその中で競争があったり、勝敗のつくことがあったりと、人間社会で生きていくうえで理不尽はつきものです。理不尽なことを経験させるよりも、理不尽なことがあったときにどう乗り越えるのか、どう対応していくのかということを一緒に考えることが大切であるように思います。

 

指導の仕方や考え方は指導者それぞれだとは思いますが、指導者に共通しているのは子供が第一ということではないでしょうか。チームの統制や勝敗も大事ではありますが、その競技を通して子供が成長していくことがなにより大切であるように思います。そして、子供の成長に一番必要なことは主体性を持たせることだと私は考えます。

 

主体性とは「自分の意志や判断によって、自ら責任をもって行動する態度や性質」という意味です。主体性がつくと自分にとって必要だと思うことであれば、辛いことでも自ら行ったり、辛抱することができるので多少の困難があっても乗り越えることができます。これは社会に出てからも必要な能力だと思います。

 

例えば、野球をしている少年がホームランを打ちたいと心から願っていれば、バッティング練習を一生懸命に行います。また、サッカーで得点を決めたいと思えばシュート練習を一生懸命に行います。その競技において「こうなりたい」「こうしたい」という気持ちがあれば子供は自ら成長することができるのだと思います。

 

子供を相手に指導をなさっているので一筋縄にはいかないことや辛抱することも多々あるかとは思いますが、子供の成長のためにもまずはその競技の素晴らしさや楽しさというものを子供が感じられるような指導ができると良いのではないかと思います。